自分史とは

「自分史」という言葉が生まれたのは、1975年(昭和50年)のこと。歴史学者である色川大吉氏が著書「ある昭和史 -自分史の試み-」(中央公論社)の中で使ったことが発端になりました。そして、この書が30万部を超えるベストセラーになったことから、第一次自分史ブームが起こりました。
色川氏は、著書「“元祖”が語る 自分史のすべて」(河出書房)の中で、こう語っています。「人は誰でも何ものにもかけがえのない自分の貴重な歴史を持っている。それを多くの人びと、ふつうの民衆といわれる人びとみんなに書いてもらいたいのだ」と。それが、少数エリートの歴史でない本当の民衆の歴史であり、それこそが、歴史学者である色川氏が欲したものでした。
自費出版である「自分史」は、売れる仕掛けを求められる商業出版とは違い、書く人の信念を曲げることなく自由に表現することが許される世界です。
後世の人のために書き残すことも有意義な目的でしょう。しかし、最も大きな目的は、半生を見つめ直し、自分をより深く理解する、「自分のために」書くものなのです。